夢十夜

短大時代国文科に通っていて、授業で近代文学をとっていたんだけど、そのテキストだけは取ってあって、前から私が好きな話があります。


夏目漱石の「夢十夜」という話。夢の話なんだけど、
自分の恋人が死ぬ前に「100年待ってください」と言って最後に涙を流して死んでいった。


恋人が言ったとおりに日が昇って沈んで1つ数えてまた2つと数えていくつ数えたかわかんないくらいになって、自分は恋人に騙されたんじゃないかと疑う。
その時、百合の花が自分の背丈ほどに伸びて上からしずくが落ちてきて揺れたかと思うと百合の匂いが香る。
その百合に口付けふと上をみると暁の星が一つ見えて、男は「あぁ100年がたったんだな」という話。


授業ではこの話が美談になるかならないかという話でした。
私は単純に恋人と再会ができた素敵な究極の愛の話だと思った。
だけど、もう一つ暁の星っていうのは恋人の約束にないことなので、男が自分で100年の区切りをつけたんじゃないかという話という解釈を言われて、「えーーー!?ありえない!?」と思ってた。


でも、実際100年待てないし、一回いなくなった恋人はもう戻らない。勝手に暁の星を見つけて区切りをつけちゃった。


私の100年はどのくらいお日様が昇って沈むのを数えればいいんだろう。