かずくん

私が今まで知り合った「かずくん」は3人いて、
一人は幼なじみのかずくん。
2人目は高校の親友のかずくん。
3人目は会社の先輩の息子のかずちゃんなんだけど、
今回書くのは一人目のかずくんです。


私が幼稚園入った頃くらいに、うちの母親が知り合った友人のうちによく行ってたんだけど、
小さかった私も一緒にそこのうちに遊びに行っていました。


そこには私と同じ年の「かずくん」がいました。
かずくんは長男で弟の「としくん」と当時2人兄弟でした。
うちも妹がとしくんと同じ年だったので、仲良くしなさいと言われていました。


でもやっぱり幼稚園でもあまり大人しかった私は荒っぽい男の子が苦手でなかなかお話できませんでした。
私はリカちゃん人形を持ってきてティッシュでウェディングドレスを作ってあげるのが大好きで、
かずくんはロボットや電車などのおもちゃで遊び、さらにはそれを荒っぽく投げたり、弟のおなかを踏みつけたり、
(弟は全然平気そうな顔をしていた・・・。恐るべし男の子)そんなことをやっていて、
どうしたって一緒には遊べないと思っていた。


でもある時、かずくんが結婚式ごっこをやってくれた。かずくんの四畳半の部屋だったんだけど、
そこでおもちゃの指輪を通して(多分おもちゃっていうかお菓子をとめる針金みたいなのだったような・・・。
そこで私ははじめてのチュウをしてしまいました。
まぁ子供だからなんともなかったんだけど、あのロボットが好きなかずくんがこういう「ごっこ」モノをやってくれた事が
とてもびっくりして、チュウのことはどうってことなかった。
(今思えばかなり大事なことだったんだけど。)


でも、幼稚園を卒業して(かずくんと私はそれぞれ別の幼稚園で小学校も別々)小学校に入学する頃
突然かずくんとのお別れが待っていました。


かずくんが事故でなくなったのです。


としくんとかずくんがおかあさんの目のとどかない所で遊んでそこで溺れてなくなったとか、そう聞いた。
そこにはとしくんがいたんだけど、恐くておかあさんをすぐ呼べなかったそうです。


私は身近な人が亡くなるって事をその頃まだ知らなくて、人が死ぬっていう事をよく理解できなかった。
「かずくんともう会えない」と言われても
「イジワルされたし、あえなくてもいいよ」
って母に言ったような気がした。


お葬式に行っておばさんが私を見て、「ゆきちゃんはもう小学校に入ったんだね。」と言って泣いていました。
きっとかずくんとおない年の私をみて自分の子供とダブらせてたのかもしれない。

それをみて、人が死ぬ事が悲しい事なんだという事を理解しました。
それ以来私はそこのうちに行っていない。


一緒に遊んだことも、チュウしたことも、かずくんは忘れずに天国にいったのかな。
私も成長して25歳になろうとしているんだけど、かずくんも生きてたら25歳。
きっとかわいい彼女ができて、もしかしたら結婚していたかもしれない。
こんなかわいい思い出を彼女に話していたかもしれないな。


いつかかずくんに会ってこの思い出を笑って話せたらよかったのにな。