みっちゃん

私は小さい頃から、自分にコンプレックスを持っていました。
小学校の時って、わりと運動神経のいい子は人気者でトロい子はいじめられるみたいなトコがあって、
私はいじめられるって事はなかったけど、かなりどんくさかったので体育で同じグループになると
あまり嬉しい顔はされなかった。


とにかく運動ができないことがとても嫌だった。
いくら勉強してもいくらイイコでいても運動のできる人にはかなわないと思った。


でも不思議と運動のできる人って、頭もいい人が多かった。
そういう人を羨ましく思い、人間って公平じゃない。そう思った。
完璧人間はいると思った。


この話の「みっちゃん」はそういう人だった。このくらい完璧なら・・・と嫉妬が不思議とわかなかった。
私は「みっちゃん」にとても憧れをもっていて、こういう人になりたい、と思っていた。


みっちゃんは小学校の1年生で同じクラスになり、うちの団地からもそんなに遠くないところに
住んでいました。


まず、背が高く、東洋美人というんでしょうか、目鼻立ちもはっきりしていて
いつもポニーテールをしていたんだけど、その髪もサラサラできれいで、勉強も運動も性格もよかった。
もちろん人気者で友達と喧嘩することもなく、弱い子とも一緒に遊んであげられるような優しい性格で、
お姫様のような感じ。まさに完璧な人間だった。


小学校低学年くらいの時は家が近所だという事もあったし、そんな事も考えなかったから
一緒に遊ぶ事があったけど、小学3年生くらいになって、周りを意識するようになって、
自分はみっちゃんとつりあいがとれてない事に気づき、離れていった。


彼女は毎年恒例の運動会でリレーの選手や応援団などで活躍していた。
気が付いた時にはもう全然遠い世界の人になったかのようでした。


6年生の時の運動会。彼女はその時もリレーの選手に選ばれていた。
アンカーの前あたりの順番だったと思う。
彼女はいつものように完璧に走っていた。このまま行けばそこのチームの勝利は確実だった。
でも、完璧な彼女に神様はいたずらをした。
みっちゃんが転倒してしまったのだ・・・・・。


どうやら足をくじいたようでこれ以上走れないような状態で、でもまだ走りたかったようだった。
遠くからだったから違うかもしれないけど、涙をぬぐっているような仕草をしていた。
結局そこのチームは棄権になり、優勝はできなかった。 


みっちゃんが泣いていたのはびっくりしたけど、みっちゃんがミスをしたこともとても驚いた。


きっとなんでもできるって思っていたけど、きっと彼女もどこか自分のだめな所があって
それをコンプレックスに思っているんじゃないかなぁって思った。


人間は完璧人間なんていない。そんな人いたら会ってみたい。今ならそう思える。