天国からのラブレター

今回はある本を読んで思ったことを書きます。
私はこの本を読んでから、心にずっと引っかかっています。
読んだあとに色々考えさせられる1冊です。
最近この話題の進展があったようなので、そんなことをふまえて書いていきます。


天国からのラブレター
天国からのラブレター 本村洋・弥生著 新潮社


この本は、「山口県母子殺害事件」の被害者の本村弥生さんがご主人の本村洋さんに送った
たくさんのラブレターをまとめた本です。


弥生さんと洋さんは18歳から23歳までの人生をともにしました。
途中は北九州と広島の遠距離恋愛もしたそうです。さらにできちゃった婚&学生結婚。
そして、洋さん・弥生さん・そして、生まれたばかりの「夕夏ちゃん」家族3人の生活がスタートしたのですが・・・


1999年4月14日午後


当時18歳の少年が部屋に上がりこんで、「小さなペンチはありませんか?」といって、弥生さんを油断させ、
弥生さんに襲い掛かったそうです。
弥生さんは必死に抵抗したため、犯人は「殺した方が犯しやすいから」という理由で弥生さんを殺害し、レイプをしたそうです。


さらに、生まれて11ヶ月になったばかりの夕夏ちゃんも殺してしまったのです。



本の内容はあくまで、弥生さんと洋さんのラブレターのやりとりをのせているだけで、事件のことはあまり触れていません。
弥生さんはとても筆まめな人だったのでしょう。文章だけではなくかわいいイラストなども描いてあったりして、
文章からは人間らしいやさしい人柄がでていて、読んでてくすくす笑ってしまうような所もあったりします。
表現の仕方もうまいし、もし生きていたらこれからもたくさんのラブレターを書き続けていたと思います。


弥生さんのラブレター(その頃は育児交換日記みたいなもの)は事件当日の4月14日まで書かれていました。


「夕夏は本当に大きくなったね。
重くなったから、だっこもつらいです。」


その夕夏ちゃんが最初に覚えた言葉は「マンマ」とかではなく「イタイ」だったそうです。
きっと、事件当日も弥生さんの隣で必死でしがみつき、最後まで「イタイ・イタイ」と泣き続けていたことでしょう。
それを思うと、涙がとまりませんでした。


弥生さんも必死で抵抗を止めなかったそうです。


「女性は襲われた時、自分の命を守る為に凌辱に甘んじてしまうことがあると何かで読んだことがあります。
『激しく抵抗し続けて殺されるくらいなら』と頭で考えて抵抗を止めてしまうのではなく、死への本能的な恐怖が
抵抗を止めさせるらしいのです。しかし、死への本能的な恐怖すら乗り越えて、弥生は激しい抵抗を止めなかった。
最後の最後まで凄絶に拒否し続けた・・・。そして、その懸命の拒絶によって命を失ってしまった。」


とあります。


まず、私が考えさせられたところがここの部分です。
「もちろん抵抗をし続ける」と口では簡単に言えるけど、そういう死への恐怖に立たされた時、
ホントにその本能的な恐怖に耐えられるのかなと思った。
弥生さんはそれを乗り越えて抵抗し続けたっていうことは深く深くご主人を愛していたんだと思います。


弥生さんは命を落としてもご主人への愛を貫いたのです。
永遠の愛ってこういうことなのかなぁ。もちろん美談にしてはいけないことなんだけど。
結婚する時、私も「永遠の愛」を心から誓いたいと思います。そういう人間になりたいです。


さて、この事件の続報ですが、
つい最近、判決公判があったようです。
裁判長は「少年は当時18歳で、精神的に幼く矯正の余地がある。極刑がやむをえないとまでは言えない」と述べ、
無期懲役」を言い渡した。検察側は控訴するそうです。


この公判では、「事件の計画性や残虐さ」「少年法が死刑回避を定めた18歳未満に近い事件当時の年齢」
「母親の自殺などの複雑な家庭環境」が争点となったようです。


「少年は前科がなく、更正の可能性がないとはいいがたい」というのですが、
18にもなって、「人を殺してはいけない」という事くらいわからなくてはいけないし、母親が自殺したからといって、
他の人を殺してもいいわけじゃない。
さらに、自分の欲望を満たしたいという身勝手な気持ちで女性を犯して殺し、幼い子供も殺すような人間を
どうしても私なら許せない。弥生さんと同じ女性として、とても許せません。


あまり、少年法っていうのをよく知らないんだけど、この本の最後に「少年法の無期刑は7年で仮出獄できる」とあります。
少年はまだ被害者の遺族に謝罪をしていないそうです。
そういう人間を仮出獄させてまた同じ事を繰り返してしまったら・・・。とても恐ろしく思います。


どうして、少年だとそんなに甘くなっちゃうの?っていうのが正直な気持ちです。
「どうせ未成年なんだから」っていって、こういった凶悪な犯罪が増えているような気がします。
いくら未成年とはいえ、元会社員の18歳少年って書いてあったから、会社に勤めていたことがあるのでしょう。
もう社会人として働いている立派な大人だと思うんだけど・・・・。


やっぱり無期刑という判決には納得がいかないなぁ。